「交通事故を減らす秘訣、ありますか?」と質問された。
質問した人は、“期待もせず、とりあえず聞いてみた”、そんな様子だったが、「ありますよ!」という私の答えに、不思議そうな顔を見せた。
交通事故を減らす秘訣、それは「止まること」です。
特に、一時停止場所、そして、歩行者が渡ろうとしている横断歩道の手前、これはご存じのとおりです。
一時停止場所では、停止線の手前で確実に止まってください。停止線の手前で止まっても、建物などの陰になって、左右の確認ができない場合は少なくありません。それでも、停止線の手前で確実に止まることが大切です。
一時停止場所とは、左右の安全を確認する場所ではなく、一度止まることによって出合い頭の事故を防ぐ場所だからです。
加えて、コンビニやガソリンスタンドなどの路外施設へ出入りする場合、その手前には歩道がありますが、この歩道の手前も一時停止場所です。歩道の手前で確実に一時停止して左右の安全を確認し、歩行者の通行を妨害しないことが定められています。(道路交通法第17条第2項)
これらの場所で、きちんと止まることができれば、交通事故は半減します。でも、簡単ではありませんから、難しいことを覚悟して、本気で取り組んでください。
止まることなど、誰にでも簡単にできます。ブレーキを踏むだけで車は止まります。
しかし、止まるべき場所で止まれないことが原因となり、多くの交通事故が発生しています。特に、見通しの悪い交差点における出合い頭の事故は、人身交通事故全体の約1/4を占め、増加傾向にあります。
ブレーキを踏むだけで、誰でも止まることができます。そして、それを実行するだけで、交通事故は半減する。なのに、何故それができないのでしょうか。
止まることの大切さなど、新しい発見ではありません。考えれば誰にでもわかる、単純な交通事故防止対策、安全運転の基本です。
つまり、知っている、わかっているのにしなかった、できなかったということです。では、何故そうしなかったのか、できなかったのかを考えなければ、交通事故を減らすことはできません。
私たちは、子どもの頃、親の運転を見て育ちました。そして、他のドライバーと同じような運転を繰り返し、事故さえ起こさなければ、それが安全運転なのだと思い込んできたのです。
例えば、一時停止場所できちんと止まらなくても、ほとんどの場合は交通事故になりません。その結果、多くのドライバーは、止まらなくても、減速するだけで交通事故にならなかったことを成功体験として積み重ねているのです。しかし、そんな運転によって、今日も誰かが交通事故を起こし、多くの人の心と体を傷つけ、時に、それは死亡事故になります。
死亡事故は、被害者の命が失われるだけではありません。その家族の幸せを奪い、自分の人生と家族の幸せを失うのです。
交通事故が発生してしまえば、どれだけの言い訳を重ねても、どれほど後悔を繰り返しても、その事故をなかったことにはできません。私たちにできることとは、防ぎ続けることだけです。そのために、きちんとブレーキを踏んで止まることが必要なのです。
それができないのは、交通事故を防ぐことの大切さを見つけていないからです。止まることの大切さを見つけ、それを自分の習慣とすることによって、交通事故は半減するのです。
今日から、きちんと、止まってください。それが「秘訣」です。