シートベルト着用の必要性など、改めて説明するつもりはありません。しかし、一般道路における運転席の着用率が99%を超える現在でも、後部座席は45.8%と半分以下です(2025年中JAF調べ)。
国・警察がシートベルトの着用を訴えるのは、被害を軽減して交通事故死者数を減らすことが主な理由です。しかし、ドライバーの多くは、自己過信によって「私は大丈夫」だと思い込んでいるため、被害の軽減や他人の死亡事故に関心を持つことができません。知識だけで、人の運転行動を変えることは困難です。
多くのドライバーが運転行動の判断基準とするのは、検挙されるかどうかであり、後部座席のシートベルトも同じです。
過去、昭和60年(1985年)、高速道路・自動車専用道路において前席のシートベルト着用義務に罰則、平成4年(1992年)には、一般道でも前席のシートベルト着用義務に罰則が定められました。
その結果、検挙されることの効果として、シートベルトの着用が習慣化していきました。
しかし、私は、シートベルトの効果について、被害の軽減以外のことを考え、機会あるごとに伝えています。
子どもたちは、どこで交通事故の被害を受けているか、ご存じですか?
子どもが交通事故でケガをする場所とは、道路ばかりではありません。特に、7歳までのお子さんがケガをしている場所とは、半分以上が車の中なのです。つまり、ご両親が運転する車に乗っているときに発生した交通事故の結果として、車の中でケガをしているのです。
皆さんは、それでも、お子さんにシートベルト、チャイルドシートを着用せずに、運転を続けるつもりですか?
そして、シートベルト、チャイルドシートは、着用した方がいいのではありません。生まれたときから、着用しなければダメです。シートベルトの効果とは、現在の被害を軽減することだけが目的ではないからです。
私たちの世代は、シートベルトを着用する習慣がないまま育ってきました。そのため、私たちが身に付けている安全意識、私たちがこれで十分だと思い込んでいる安全運転のレベルは、実は不十分なものでした。
その結果として、1年間に2,500人以上の命が奪われ、加害者の人生が失われているのです。これまで事故を起こさなかったからこの運転でいいという、そんな自己過信、勝手な思い込みが交通事故の原因となっています。
お子さんが生まれたときからチャイルドシート、ジュニアシート、そして、シートベルトを必ず着用してください。それによって、お子さんは、私たち以上の安全意識を備えて成長するのです。
将来、そんな子どもたちが大人になり、家族を乗せてドライブに出発するとき、家族全員がシートベルトを着用しない限り、車を走らせることはしないでしょう。
こうして、子どもの頃から育まれた安全意識が、ひとつひとつの交通事故を防ぎ、安全な交通環境を築くのです。
そのために今、私たちができることとは、子どもが生まれたときからチャイルドシートを着用させること、子どもが嫌がってもシートベルトを着用させること。それが私たちの果たすべき役割(責任)なのです。
そしてもう一度、自分自身の安全意識、安全運転について考えてみる必要があります。
子どもたちの安全意識を育てること。そして、私たち以上の安全運転を習慣とする若い世代を育てること。この積み重ねなくして、将来の安全な交通環境を築くことなど、できるはずがありません。