教えることと学ぶこと

2016年12月号

 あるフランス詩人は、「教えることとは夢を語ることであり、学ぶこととは誠実さを胸に刻むことである。」と表現しています。
 安全運転管理者は従業員に安全運転教育をすることになりますが、その語るべき夢とは何でしょうか。また、胸に刻むべき誠実さとは何を意味するのでしょうか。
語るべき夢とは交通事故を起こさないことに尽きますが、会社に迷惑をかけるから事故を起こすなといった教え方は、交通事故を防ぐことの価値を矮小化しており、それを夢とはいえません。
 管理者が語るべき夢とは、事故当事者にならないことの大切さ、平穏であることによってこそ得られる自由と生きていることの価値についてではないでしょうか。
 そして、それを語る言葉は自分自身の言葉でなければなりません。管理者の方々が、自分の部下職員を守ろうとする気持ちを抱き、考え続けることによって自分自身の言葉が生まれてきます。それを伝えることが必要なのだと感じています。
 そしてその詩人は、「学ぶこととは、誠実さを胸に刻むことである。」とも表現しています。胸に刻むべき誠実さとは、教えてくれる人、その人の誠実さのことでしょう。
 安全運転管理者の役割とは、安全運転の意識を浸透させ、実践させ、継続させていくことであり、このことは、安全運転を職場の習慣とすることであり、何よりもそのための努力を惜しまないことであります。
 学ぶこととは、管理者の指導、その言葉に秘められた思いを受け止めること、その人の誠実さを受け止めることだと私は理解しています。