安全運転管理者について

安全運転管理者制度の概要

 現代における様々な企業活動の場面で自動車の活用は重要な役割を果たしていますが、自動車の使用は常に交通事故という危険性を孕んでいます。その危険性を排除するため、道路交通法は使用者(事業主)に対して「車両等の使用者の義務」を定めています。

車両等の使用者の義務(道路交通法第74条、第74条の2)
 

 社員がその車両を運転する場合、道路交通法等に定められた安全な運転に関する事項を遵守させることなど。

 しかし、使用する自動車の数が多数である場合には、現実的に使用者がこの個々の義務を果たすことが困難であるため、事業所ごとに安全運転管理を行う責任者(安全運転管理者)を指定し、その者(安全運転管理者)によって事業所における交通安全教育等、交通事故防止のための措置を講じることとされました。
 これが昭和40年6月の法改正で制度化された「安全運転管理者制度」(道路交通法第74条の3)です。その後も社会情勢の変化に伴って改正され、今日に至っていますが、これまでの交通事故の減少に大きな役割を果たしてきました。

使用者の義務

(1)  安全運転を励行させる義務
  ※ 道路交通法第74条、第74条の2

(2)  安全運転管理者等を選任する義務
  ※ 安全運転管理者等の選任

(3)  安全運転管理者等の届出義務
  ※ 安全運転管理者等の届出手続

(4)  安全運転管理者等に対する権限付与
 使用者は、選任した安全運転管理者等に対して、交通安全教育等を行うために必要な権限を与えなければなりません。
  ※ 道路交通法第74条の3第7項

(5)  安全運転管理者等に法定講習を受講させる義務
 使用者は、安全運転管理者等が効果的な安全運転管理、交通安全教育等を行うため、公安委員会が行う講習(法定講習)を受けさせなければなりません。
  ※ 道路交通法第74条の3第8項

安全運転管理者の業務

 安全運転管理者は、自動車の安全な運転を確保するために、事業所等の業務に従事している運転者に対する安全教育や、自動車の安全な運転に必要な業務を行わなければなりません。

(道路交通法74条の三・第2項、第3項)

安全運転管理者の業務内容

運転者の状況把握
 

 自動車の運転に関する運転者の適性、技能及び知識並びに法及び法に基づく命令の規定並びに法の規定に基づく処分の運転者による遵守の状況を把握するための措置を講ずること。

   
安全運転確保のための運行計画の作成
 

 道路交通法(以下「法」という。)第22条の2第1項に規定する最高速度違反行為、法第58条の3第1項に規定する過積載をして自動車を運転する行為、法第66条の2第1項に規定する過労運転及び法第75条第1項第7号に掲げる行為の防止その他安全な運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成すること。

   
長距離、夜間運転時の交替要員の配置
 

 運転者が長距離の運転又は夜間の運転に従事する場合であって、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、あらかじめ、交替するための運転者を配置すること。

   
異常気象時等の安全確保の措置
 

 異常な気象、天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、運転者に対する必要な指示その他安全な運転の確保を図るための措置を講ずること。

   
点呼等による過労、病気その他正常な運転ができないおそれの有無の確認と必要な指示
   運転しようとする運転者に対して点呼を行う等により、道路運送車両法第47条の2第2項の規定により当該運転者が行わなければならないこととされている自動車の点検の実施及び過労、病気その他の理由により正常な運転をすることができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。  
   
運転者の酒気帯びの有無の確認
 

 運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国家公安委員会が定めるものをいう。次項において同じ。)を用いて確認を行うこと。

   
酒気帯びの有無の確認内容の記録・保存、アルコール検知器の常時有効保持
 

 前項の確認の内容を記録し、及びその記録を一年間保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持すること。

   
運転日誌の備え付けと記録
 

 運転者名、運転の開始及び終了の日時、運転した距離その他自動車の運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。

   
運転者に対する安全運転指導
 

 運転者に対し、自動車の運転に関する技能、知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと(法第74条の3第2項に規定する交通安全教育を行うことを除く。)。